【編集長が最近思うこと】どうやって吹奏楽の演奏人口を増やすか、という話




こんにちは!

Wind Band Press編集長の梅本です。

この編集長コラムでは、最近気になることや、経験上何か役立ちそうなことなんかを、ちょこちょこと書いていきます。


株式会社グローバルインフォメーションによる「楽器の世界市場(2022年)」についての市場調査レポートが出たようです。

概要によると、楽器の市場規模は、2021年の129億5000万米ドルからCAGR2.3%で成長し、2022年に132億5000万米ドルとし、さらに2026年には145億4,000万米ドルに達すると予測されています。

このレポートでの楽器市場は、音を出すために作られた法人(団体、個人事業主、組合)による楽器機器の販売で構成されています。楽器の主な種類は、弦楽器、金管楽器、木管楽器、打楽器、そして鍵盤楽器です。

このレポートの詳細は有料で、ものすごく高いので(数十万円)買っていないのですが、無料サンプル(英語)を取り寄せて見てみたところ、弦楽器の伸びが最も大きいようですが、管楽器も伸びています。地域的には、2021年の楽器市場において、アジア太平洋地域が最大市場となっています。

クラシック音楽の調査ではないので、おそらくギターやピアノなど、一人で出来る楽器で、おもにロックやポップスを演奏するための楽器がよく売れているのではないかなと思います。

ですのでクラシック音楽用途についての詳細はわからないのですが、例えばアニメ「響け!ユーフォニアム」がヒットした後は管楽器を買う人が増えたような印象があります。

ただ、そういったきっかけがあって管楽器を買って、吹奏楽をやりたい、と思っても、学校の部活以外では演奏する場所がほとんどないのが現状ではないでしょうか。

少子化の流れで学生の数は減っているので、初心者の受け皿を学校の部活動に求めても、あまり吹奏楽人口が増えることにはつながらないような気がしています。

ですので学生も学生でない方も、部活動に入らない初心者を地域で受け入れる場があれば良いのにな、と思う昨今です。

ただ、現状、地域の社会人吹奏楽団も、「未経験者歓迎」というバンドは割合としてはあまり多くないかもしれません。

少年野球や少年サッカー、少年ハンドボールに少年剣道、書道教室やママさんバレーなど、未経験者歓迎の教室やクラブは皆さんの地元にも多くあると思いますが、「吹奏楽教室」はあまり見かけないかと思います。

広島のママさんブラスでも入団の条件として「楽器経験があること」となっており、初心者にとっては問い合わせるのも心理的ハードルが高そうです。楽器を買って一人で練習したので楽器経験はあるということになりますが、それがバンドが求めている「楽器経験」とマッチしているかどうか、初心者にとっては判断がつかないですよね。バンドとしては「即戦力」を求める場合がほとんどだと思います。(就職氷河期時代の就職活動の際に流行った言葉ですね)

少子化で吹奏楽人口は減りますよ、という話題はもう10年以上も前から指摘する方がいらっしゃいましたが、業界としてもこれといった効果的な手を打つことが出来ていないように思います。ただ、楽器を購入する人口は増えているかもしれません。

出版社は少子化に合わせてフレキシブル楽譜などを多く出すようになりました。これは対症療法としては間違っていないと思うので、それはそれで良いのですが、根治の方法がない、または見出だせていない、というのが現状ではないでしょうか。出生率のコントロールは出来ませんし。

出来れば資金力のある会社に、楽器初心者が吹奏楽を出来るようなイベントなどを企画してほしいところなのですが、そもそもこの業界に資金力のある会社はないのかもしれません。どこも厳しいという話。

とはいえ、せっかく楽器を買って、吹奏楽に興味があるような人たちを、そのまま放置して、「演奏する場所もないし、もういいや楽器売ろう」という方向に向かわせてしまうのはあまりにももったいない話です。

そこで、これはあくまでも一つの案ですが、地域で未経験者を受け入れる体制を作ってみてはいかがでしょうか。

特に地域密着型の社会人バンド(吹奏楽業界的には一般バンド)、そしてプロのバンドで、下記のようなことをやってみることは出来ないでしょうか。

・初心者のための吹奏楽体験会を定期的に開催する

・プロアマ問わず、初心者を中心としたサテライト・チームを作る

もちろん練習場所を借りるにはお金もかかりますから、お金に余裕がなければ行政や地域の企業などから後援を受けるなどの努力が必要となりますが、イベントに参加した方の中から成長が見られる方は団員として受け入れたり、サテライト・チームの方が主力に育てばバンドにとっても良い話です。

出来れば参加者各自にプロのレッスンを受けてもらうのが良いですが、それをバンドで斡旋するなどしてあげても良いでしょう。全国各地にプロ奏者はいらっしゃると思いますので。

年齢制限なしでやってみたら良いと思います。音楽は生涯楽しめる趣味ですからね。まだ楽器を吹けない小さなお子様や、または楽器を持っていないけど興味がある、という方にも、「見学」という形で開放しても良いと思います。やがて楽器を買って演奏に参加してくれるかもしれません。

経験者の方、例えば学生時代に吹奏楽部にいたけど卒業してからしばらく離れていた、というような方であれば、再開したくなったときに地域のバンドの演奏会を聴きに行ったりして「どのバンドに入ろうかな」と考えることも出来るかもしれませんが、まったくの初心者、吹奏楽未経験者にとっては「どのバンドが自分に合うか」というのもよくわからないでしょうし、入団を希望しても門前払いを食らう可能性が高いです。

部活動の地域(学校外部)への移行の話もありますが、今回はそれとはまた別の話です。

一部の少年野球教室や書道教室などのように、地域に根ざして門戸を開いた形、「オープンな」吹奏楽団を作る、という考えを、今後各地域のバンドで検討していただけたら、もしかしたらそれが「対症療法」ではなく「根治」に近い施策になるかもしれないな、と思った次第です。

イベント参加者の意見も「オープンに」受け入れると、より地域の未経験者の方の役に立つ形が見えてくると思います。

この形の実現にはバンドによって色々な課題があると思いますし、「すでに地域のイベントに演奏参加することで地域へのPRは充分にしている」と考えるバンドも多いと思いますが、地域の未経験者を受け入れるということについて検討することは無駄ではないのではないかな、と思います。何卒。


今日はこんな感じで。前にも同じようなことをブログか何かで書いたような気がするのですが・・・

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